ボイスドラマ「翼冒険奇探」(つばさぼうけんきたん)/第1話

脚本/さのや

08/05/29 一部修正
08/02/24 登場キャラ表記をちょっと修正
08/02/23 とりあえず完成、各所修正


【概要】


【脚本中記号について】
「」…キャラのセリフ(括弧なしはモノローグだと思っていただければ!)
()…状況説明・セリフの演技指定
※ …前後の状況説明など

【他】
・セリフの方は言い辛ければ言いやすいように語尾・言い回しを変えていただいて構いません。
・複数行に渡る台詞も有りますので、見落としにはご注意くださいませ!
・台詞番号がうっかり重複したりしている場合は「001-1」、「001-2」などでご提出ください。
できるだけないように気をつけます;

【今回登場するキャラクター】(9名+エキストラ) ※括弧内の数字は台詞数

クロス(23)、エクレア(19)、リーニエ(18)、ジョン(11)、プノエ(8)、フェンリル(6)、
レイ(14)、オズ(4)、ノルン(3)、エキストラ(7)

合計台詞数:113


(以下シナリオ本文)

【シーン01:OP/"冒険学者"ジョン・ジークフリードの回想】

ジョン/001:これは、大空(おおぞら)に幾許か(いくばくか)の冒険と浪漫(ろまん)が残っていた時代の話だ。
10代の頃の私は、父親に反発して家を飛び出して、空賊(くうぞく)の船に乗っていた。

でも、その船の人達は"空賊"と言っても名ばかりで、
普段の仕事は荷運びやら雑用やら…そこらの商人の使いっぱしりと変わりなかった。

これは、その頃の私達と、一人の少女と、沢山の人のその後を大きく変えた、冒険の物語だ。

(モノローグです。ナレーション的にお願いいたします/地声でもキャラ声でも構いません)


【シーン02:アマツカサの少女】

(クロスとエクレア、街を歩いている)

クロス/002:「あ〜…ったく、散々走り回ってこれっぽっちかよ。これじゃ、燃料代にもならねぇじゃねぇか」
(ちゃり、とお金の入った袋の音)

エクレア/003:「しょーがないじゃない、荷物運びでこれなら、案外もらえた方よ」
(クロスを諭すように言う)

クロス/004:「あー、もう!こういうんじゃなくてさぁ!俺は冒険がしたいんだ!
こう、軍と渡り合ってお宝をいただくとか!遺跡を探検してお宝をいただくとか!
どっかの城に忍び込んでお宝をいただくとか!エクレアもそう思うだろ!」

エクレア/005:「…お宝ばっかりね」
(ため息混じりに)

エクレア/006:「私だってそういう冒険がしたいけど…まずは日々の生活費が必要なの!
帝国が他の国を侵略してたのなんて十年以上昔だし、この国のほとんどの遺跡は探検家とか学者の先生方が
調査しちゃってるし…養父さん(とうさん)の時代とはもう違うのよ。しょーがないの。」

クロス/007:「ちぇ、どっかから冒険の話が降って来ねぇかなぁ…」

(ひゅーん、と物の落ちる音/リーニエ、上から降ってくる)
リーニエ/008:「きゃあああ!どいて!どいてくださーい!!!」

クロス/009:「…って、えええ!!?」
(どかどかどか!と音/リーニエ、クロスにぶつかる)

エクレア/010:「うっわ…クロス、大丈夫!?そっちの子も!」

リーニエ/011:「い、いたたた…わわ、大丈夫ですかっ!?ツンツン頭の眼帯さん!」

(ぶっ倒れていたクロス、がば!と起き上がる)
クロス/012:「変な呼び名で呼ぶな!!俺の名前はクロスウィンドだ!!」

リーニエ/013:「わかりました!くろす…うぃんどさん?」
(のん気な感じでたどたどしく名前を言う)

クロス/014:「おう、それでよろしい。ていうかお前、なんで背中に翼生えてるんだ?……お?」
(会話の途中でばたばたと複数の足音/帝国の兵士に周囲を囲まれる)

帝国兵/015:「見つけたぞ!」「隊長に知らせろ!」

エクレア/016:「な…何よ、こいつら…帝国兵?」

クロス/017:「な、なんだよ、俺達何にもしてないぞ?」

リーニエ/018:「はわわわわ…ど、どうしよう…もう見つかってしまいました…!」


【シーン03:お尋ねもの入門】

(足音/ざっ!と帝国兵、道をあける/レイ、現れる)
クロス/019:「なんだぁ?鳥人間がもう一人?」

レイ/020:「鳥人間ではない!アマツカサ族だ!!」(怒る)

エクレア/021:「あ、聞いたことあるわよ。あちこちにある古代の遺跡を作った種族だとか…」

リーニエ/022:「おー、おねーさん、博識(はくしき)なのです!」
(博識、はひらがなっぽく、たどたどしく言っていただけると)

クロス/023:「それがなんで帝国兵を連れてこいつを追いかけてるんだよ?」

レイ/024:「ふん、貴様らの知ったことではない。…ともかく、その娘を渡してもらおう」
(ざっ!と帝国兵が取り囲む音)

リーニエ/025:「助けてください!私、あそこには戻りたくないんです!」

クロス/026:「なんだかよくわからねぇが…女の子1人をこんな大人数で追い回すってのは気に食わないな」

クロス/027:「…よし、決めた。お前を助けてやる!」
(クロス、剣を抜き、リーニエを後ろに庇う)

リーニエ/028:「ありがとうございます、クロスウィンドさん!」(ほっとした感じで)

レイ/029:「身の程知らずな…帝国に刃向かうとどうなるか、わからせてやれ!」

帝国兵/030:「はっ!!」(複数)

(剣戟の音/クロス、帝国兵数人を相手に斬り合い)
クロス/031:(えいっ!やっ!てやっ!!など、戦闘系掛け声数点/アドリブでどうぞ)

帝国兵/032:「ぐあっ!?」(などやられ声数点)

クロス/033:「エクレア、そいつ連れて先に行け!」

エクレア034:「わかった!ちょっと走るわよ!」
(前半クロス、後半リーニエに)

リーニエ/035:「は、はい!」

レイ/036:「くっ!その娘を止めろ!!」

帝国兵/037:「はっ!」(複数人)
(駆ける足音複数/帝国兵、エクレア達を追う)



(駆ける足音複数、武器音/剣を持った帝国兵数人が立ちふさがる)
エクレア/038:「ふーん…その程度の数じゃ、私は止められないわよ?」
(武器音複数、打撃音と倒れる音/帝国兵、斬りかかるがエクレアの槍でのされる)

リーニエ/039:「わ、わ………痛そうです」(のされた帝国兵を見て)

エクレア/040:「ま、かるーく殴っただけだからだいじょぶでしょ。さ、早く!」
(ばたばた走り去る音)

帝国兵/041:「そこの娘、待てッ!!」
(足音複数/後方から帝国兵沢山)

エクレア/042:「…って、沢山追ってきたっ!?」

リーニエ/043:「むむむ…こうなったら仕方ないです!おねーさん、どいてください!」
(みょ。と変な音/ポケットからプノエを取り出す)

プノエ/044:「ぷ。」(よ。と片翼を上げる)

エクレア/045:「何それ、ヒヨコ?そんなもんでどうやって…」

リーニエ/046:「プノエさん、ふぁいあーです!」

プノエ/047:「ぷ、ぷ〜!!!」
(炎の音(大)/プノエ、火をふく)

帝国兵/048:「うわぁ!!?」「あっつ!」「死ぬ!マジ死ぬから!!」(やら悲鳴いろいろ)

エクレア/049:「か、火炎放射ヒヨコ!?」

リーニエ/050:「さ、今のうちです!」

プノエ/051:「ぷー!」

エクレア/052:「あ、う、うん。…こ、この子達、何者なのかしら…?」(ふと疑問に思う)
(足音複数/2人、走り去る)



(場面、クロス達側に戻る)
レイ/053:「貴様、何者だ?何故我々の邪魔をする?」
(剣を抜き、クロスへ向ける)

クロス/054:「俺はクロスウィンド。ただの空賊さ。
んー、なんでって言われてもなぁ…気に食わなかったから?」(軽く)

レイ/055:「くっ、ふざけるなッ!!」
(武器を振る音、避ける音/レイ、斬りかかるが避けられる)

クロス/056:「あ、そうだ、倒す前に名前、聞いといてやるよ。
名乗らずにあっさり倒されるんじゃ、雑魚みたいでかわいそうだしな!」
(不敵に笑いつつ)

レイ/057:「…帝国軍のレイ・モルガナだ。言っておくが、空賊風情に負けるつもりはないッ!!」

クロス/058:「へー。…あっ!アレはなんだ!?」(急に空の方を指す)

レイ/059:「な、なんだ!?…ぶっ!?」
(思わず振り向…いた所、後頭部をクロスに足蹴りされる/打撃音)

帝国兵/060:「た、隊長ッ!!」

クロス/061:「レイ、ね。素直過ぎるのも考えもんだぞ。もうちょっと頑張りましょう。じゃあな!」
(通知表の評価的に言って、すたこら逃走)

(一人残ったレイ、よろよろ立ち上がりつつつぶやく)
レイ/062:「く…あいつら、絶対許さん。リーニエ…何故あんな奴らと共に逃げる道を選んだ?」
(前半は怒り/後半は真面目に)


【シーン04:逃亡/白衣/爆発】

(のどかな鳥のさえずり/町外れの港。飛空艇でジョンとフェンリルがのんびり2人を待っている)

ジョン/063:「フェンリルさん、師匠とエクレアさん、遅いですねー」

フェンリル/064:「あれほど寄り道するなと言ったのになぁ…まあ、もうすぐ帰ってくるだろう」

ジョン/065:「僕、なんかヤな予感がするんですよね。もしかしたらものすごいトラブルを抱えて帰ってきたりして」

フェンリル/066:「ジョンくんの勘は当たるからねぇ。
でもまさか、報酬を受け取りに行くだけでそんなことは…あれ?」
(のんびり朗らかに言う…が、台詞途中でばたばたと足音)

エクレア/067:「フェンリル、船を出す準備して!ジョン、燃料と食料の買い出しは終わってるわね!?」

リーニエ/068:「ふわー、すごいですー。飛空艇(ひくうてい)に乗るのは初めてですよー」
(ゆるく言ってのん気にきょろきょろ)

プノエ/069:「ぷー、ぷ。」(やれやれだぜ、的に)

ジョン/070:「あ、はい、買い出しは終わってますけど…どうしたんですか、そんなに慌てて。
…ていうか誰ですかその子達っ!!」(驚き)

エクレア/071:「よく知らないのよ。でも、この子、帝国に追われてるみたい」

リーニエ/072:「えっへん!堂々(どうどう)追われているのです!」(胸をはる)

プノエ/073:「ぷー!」(同上)

フェンリル/074:「…ジョンくんの勘が当たったみたいだねぇ」(ため息混じりに)

リーニエ/075-1:「あ、申し遅れました!私、リーニエ・イリス・モルガナと申します!
こっちはお友達のプノエさんなのです!末永く、ちよにやちよにお願いいたしますなのです!」
(ちよにやちよに=「千代に、八千代に」。軽く区切ってください)

プノエ/075-2:「ぷー!」

ジョン/076:「こ、この人…アマツカサ族!?そりゃ帝国に追われますよ!
帝国が探してる、古代遺跡を作った種族ですもん!知りませんよ、軍隊に攻撃されても!!」

(足音)
クロス/077:「戻ったぞー。いやー、さっき、軍の偉い奴っぽいの蹴っちゃった。」(朗らかに言いつつ帰ってくる)

ジョン/078:「もうこっちが攻撃してるッ!?何してるんですか、師匠!!」

クロス/079:「いやー、あんな古典的な手に引っかかるとは思わなくてさ。」

ジョン/080:「はぁ…?」(よくわかってない)

クロス/081:「多分追ってくるだろうから、さっさと逃げようぜ。フェンリル、ジョン、出港準備!」

フェンリル/082:「りょーかい。これで僕達も晴れてお尋ね者だねぇ。いやぁ、先代の船長の時代を思い出すなぁ〜」
(ほのぼのと)

ジョン/083:「フェンリルさん、昔を懐かしんでる場合じゃないでしょう…はぁ」(ため息)



(爆発音/船が揺れる)
リーニエ/084:「きゃあっ!!」

クロス/085:「うわ、なんだなんだ!?」

ジョン/086:「み、皆さん、外!囲まれちゃってますよ!!」

エクレア/087:「ちょ、ちょっと!追われてるとは言え、なんでいきなり攻撃してくんのよっ!!」


(港に軍隊/先頭に白衣の男)
オズ/088:「ひゃひゃひゃひゃひゃ!弱小空賊の諸君!君達はー!完全にー!!包囲されているー!!!」
(フリーダムに叫んじゃってください)

レイ/089:「く…こいつに指揮を任せたくはなかったのだが…」(心底嫌そう)


(クロス達、窓から見てる)
ジョン/090-1:「…変な白衣の人が出た!!」(衝撃)

エクレア/090-2:「…何アレ」(呆れた)

クロス/091:「帝国って鳥人間とかあんなのとかばっかりなのか?」(真面目に)

リーニエ/092:「さ、さぁ…私もよく知りませんから…」(困ってる)

プノエ/093:「ぷー…」(リーニエに同意するような感じ)

フェンリル/094:「一昔前はもっと真面目な軍だった気がするんだけどなぁ…」



オズ/095:「暴力を振るうことは、非常に不本意だが…帝国に刃向かった罰だ。
ノルン!彼らをちょーっと痛い目に遭わせてやりたまえ!!」
(不本意と言いつつ楽しそう)

ノルン/096:「はい、マスター。」
(メイド服姿の女、一歩前へ出る)

(エクレア、窓からノルンを見て血相を変える)
エクレア/097:「…!あの額の痣(ひたいのあざ)…姉さん!?生きてたの…?なんで帝国軍と一緒にいるの…?」
(信じられないような感じで)

レイ/098:「オズ、我々の目的はリーニエを連れ戻すことだ。手荒な真似は…」

オズ/099-1:「ウルトラスペシャルデンジャラス級・対戦艦砲(たい・せんかんほう)発射ッ!!」
(聞いちゃいない)

レイ/099-2:「話を聞けーッ!!!」


ノルン/100:「了解しました。対戦艦砲、発射」(淡々と)
(腕を船に向ける/メカっぽい音がして腕が砲に変形/きゅいん、とレーザー発射っぽい音)



(ちゅどん!と大きな爆発音)
クロス/101:「撃ちやがった!お、落ちるぞコレー!!!」

エクレア/102:「嘘っ!?」

リーニエ/103:「マジですか!!」

プノエ/104:「ぷ、ぷー!?」

ジョン/105:「わーん!この若さで死にたくないですー!!!」

フェンリル/106:「…困ったねぇ」(一人のん気)

(上記会話、爆発音に紛れてフェードアウト)



ノルン/107:「目標の撃墜、確認しました」
(メカ音複数/対戦艦砲が腕に収納される)

レイ/108:「オズ!あの船にはリーニエが乗ってるんだぞッ!!」

オズ/109:「くっくっく…他にも"アレ"が一緒にいるだろう。万が一にも死ぬことはないよ」

レイ/110:「く…リーニエ…!!」

(1話/終)


(次回に続く)

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