「教授とミセスとゴーストトレイン」シナリオ

08/10/30 完成

◆登場キャラと台詞数

教授(50)、キャロライン(35)、ジャック(30)、マーガレット(47)、レオナルド(37)

計199

※台詞はアレンジしていただいて構いません。アドリブできそうな所は増やしてもらっても大丈夫です。
(長すぎる場合は、編集の際に切らせていただくこともあるかもですのでご注意下さい)

【補足:読み仮名など】
教授=プロフェッサー
霊媒師=ミスティック

読み仮名なしの部分も基本的には上記で読んでください。

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(以下シナリオ本文)

◆01:プロローグ
【汽車の音/がたごとと揺れる音】

マーガレット/001:「私があの人達と出会ったのは、雪解けの季節。
その時の私は、実家での厄介な事件が片付いて家に帰る所で、まさかあんな不思議な事件と、
不思議な人達に出会うとは、夢にも思っていなかった」

【汽車の別の車両にて/教授とキャロラインの会話】

キャロライン/002:「ねえ、教授。アレは見つかるかしら?」

教授/003:「さて、ね。……しかし、見つけなければ恐らくこの列車は"次の駅"には着かないだろう」
(さて〜はのん気に、後半は真面目に)

【列車の音などフェードアウト>タイトルコール】

教授/004:ボイスドラマ「教授とミセスとゴーストトレイン」
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◆02:ミセスと謎の2人組

【がたんごとんと汽車の揺れる音/うたたねしていたマーガレット、目を覚ます】

マーガレット/005:「う〜ん……あ、あら?私、いつの間に眠ってしまっていたのかしら。
あらやだ、窓の外は真っ暗だし……変ね、周りもやけに静かだわ。
まさか真夜中まで寝過ごしてしまったのかしら」
(困惑した風で窓の外を見てみたり、周囲を見てみたり)

【マーガレットのいる客室の扉が開く/キャロラインがてててっと入ってくる】

キャロライン/006:「……っ!」(小声でびっくりした風に声を出す)

マーガレット/007:「あら、お嬢ちゃん。どうしたの?何か探し物?」(優しげに声をかける)

キャロライン/008:「なんでもないです。さようなら」(淡々と言って去る)

【扉の音/がらぴしゃ!と早めに】

マーガレット/009:「は、はぁ……?」(困惑)

【扉の外/教授達の会話】

キャロライン/010:「教授(プロフェッサー)、どういうこと?生きてる人がまだ中にいたわ」

教授/011:「おや、本当かい、キャロライン。もしかして僕達と一緒に取り込まれた乗客がいたんだろうか……」
(台詞の区切りでコンパートメントの窓を覗く)

キャロライン/012:「知らないわ。どうするの?」

教授/013:「うーむ。放っておくわけにはいかないし、かと言ってこの幽霊列車マリア・セレスト号の調査を
するのに一般の乗客を危険な目に遭わせるというのは宜しくないし」

【上記台詞途中で扉の音/マーガレット、出てきて話に加わる】

マーガレット/014:「まあ!幽霊列車?面白そうなお話ですのね」

教授/015:「うわっ!!お嬢さん、何故それを?」(驚く>後半、真剣に不思議そうに)

キャロライン/016:「……すぐ隣に人がいるっていうのに、教授の声が大きすぎなのよ」(呆れつつ)

教授/017:「うっ。えー、失礼しました。我々はけっして怪しい者ではありません」(きっぱり言い切る)

キャロライン/018:「その言い訳が十分怪しいわ」(きっぱりつっこむ)

マーガレット/019:「知っていますわ。幽霊列車の調査にいらした方々なんでしょう?先ほどのお話が聞こえましたから」
(少し笑いつつ言う)

マーガレット/020:「私はマーガレット・ウィリアムズ。宜しかったらそのお話、詳しく聞かせていただけませんか?」

教授/021:「おっと、失礼。名乗るのが遅れました。僕はD・スミス、こっちは助手のキャロライン。
 ……あまり信じていただける話だとは思いませんが、それでも宜しければ」

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◆03:ミセスと本物幽霊さん

【がたんごとん、と汽車の揺れる音】

マーガレット/022:「まあ、鉄道会社の依頼で幽霊列車の調査を?」

教授/023:「ええ、最近開通した、元マリア・セレスト号の路線を走る汽車に、どうにも不自然な事故が立て続けに
 起こりましてね。僕自身もこの列車には少なからず因縁が有りましたし、調査を引き受けたのですよ。
 ……まさか本当に現れた上に乗れるとは思っていませんでしたが」

キャロライン/024:「教授(プロフェッサー)の誤算(ごさん)はよくある事よ」

マーガレット/025:「あらまあ、だからこの汽車、すごく空いていたんですね。
 前の汽車が出たすぐ後に来たし、車掌さんもいないので不思議に思っていたのですけれど」(のん気に)

ジャック/026:「ったくよー。頭のゆるい女だぜ」

マーガレット/027:「え?あの、教授(プロフェッサー)さん?」

教授/028:「ジャック、か。やれやれ、初対面の人にそういう言葉遣いをするんじゃない」

マーガレット/029:「どこから声が……?」(きょろきょろ)

ジャック/030:「ばーか。こっちだよ、こっち。鈍いヤツだな」

キャロライン/031:「……ジャック、いい加減にしないと怒るわよ」(咎めるように強めに)

ジャック/032:「おっと、この間みたいにアミュレットで首を絞めるのは勘弁な。ま、俺は殺しても死なねーけど」

【ジャック、姿を見せる】

マーガレット/033:「まあ!」(驚き)

教授/034:「彼はジャック。見ての通り生きてはいないのですが、我々の協力者です。
 ……本当は驚かせないよう、徐々に説明しようと思ってたんですが」(後半、ため息混じりに)

ジャック/035:「そんなのまどろっこしーぜ。わかりやすいのが一番だろーが」

マーガレット/036:「まああ!本当の幽霊さん?」

ジャック/037:「あー、そうだ。ふん、見世物じゃねーんだ。あんまりジロジロ見るな。」

マーガレット/038:「まあああ!」(ジャックの言動にいちいち感動する)

教授/039:「あの、ミス・マーガレット?彼はあんまり穏やかな性格ではないのでそんなに近づかない方が……」

マーガレット/040:「まさか幽霊さんとお話ができるなんて!今日はなんて不思議な日なんでしょう!」(上機嫌)

キャロライン/041:「聞いてないみたいよ、教授」

マーガレット/042:「あら、聞いていますとも。
 穏やかな性格の方でなければ友人になれないなんて、そんなことは有りません。
 それに、こう見えても私、既婚者(ミセス)ですのよ。うちの子よりジャックちゃんが多少やんちゃだろうと、
 大抵のことでは驚きませんわ」

ジャック/043:「ジャック……ちゃん、だと?」(ちゃん付けで呼ばれて脱力)

教授/044:「いや、やんちゃとだいぶ違うような……と、というか、ミセス・マーガレットでしたか、失礼」(後半はあわてて)

キャロライン/045:「……見えない」(驚きつつ)

ジャック/046:「ふざけんな、この女。こう見えても俺は生きてた時にゃ切り裂きジャックと呼ばれてたんだぜ。
 それを……」

マーガレット/047:「さ、教授(プロフェッサー)さん、キャロラインちゃん、ジャックちゃん。
 この汽車を調べるのでしょう?でしたら別の車両にも行ってみましょう。何か有るかもしれませんし!」(楽しげに)

【足音/マーガレット、勇んで前の車両の方へ】

キャロライン/048:「あ……行っちゃった。……教授」

教授/049:「やれやれ、ジャックを見ても動じないのは頼もしい限りなんだが……とりあえず追おう」

ジャック/050:「く……あの女、苦手だ……」

【足音/3人、向かいつつ教授が独り言】

教授/051:「ミセス・マーガレット、か。どこかで聞いたことのある名前だな……うーむ」

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◆04:ジャックとキャロルとポルターガイスト

【がたんごとん、と汽車の揺れる音】

【足音/マーガレット、次の車両にやってくる/無人の食堂車、テーブルにナイフやフォークなどが置かれている】

マーガレット/052:「ここは……食堂車?ここにも誰もいないのね」

【足音/教授達、マーガレットに追いつく】

教授/053:「ミセス・マーガレット。一人で先に行くと危ないですよ。何があるかわからないんですから。
 ……!下がって!!」(後半、緊迫した感じで)

【教授、マーガレットをとっさに下がらせる/今までいた場所にナイフやフォークが刺さる音】

マーガレット/054:「まあ!ナイフやフォークが勝手に……!」

教授/055:「ポルターガイストか……キャロライン!ジャック!」

キャロライン/056:「……わかったわ」

ジャック/057:「そうこなくっちゃな!」

【2人、前へ出る】

マーガレット/058:「教授!2人が危ないんじゃ……」

教授/059:「まあ、見ていてください」

【ナイフやフォークが2人に向かって飛んでくる/キャロラインがナイフでそれを叩き落す】

ジャック/060:「ふん、何者だか知らないが、この程度で俺様を殺れると思うなよ」

マーガレット/061:「まあ!すごいのね、キャロラインちゃん」

キャロライン/062:「……ジャックに身体を貸しただけ。私は、霊媒師(ミスティック)だから。
 ……それより、また来るわ」

【食器が中に浮く/ジャックの台詞途中で机と椅子もふわり、と】

ジャック/063:「今度は皿か。だからその程度で……げ、机と椅子!?」

キャロライン/064:「……あれはちょっと無理ね」

【がっしゃん!とジャック・キャロラインが居た場所に食器などが激突/2人、ぎりぎりで避ける】

教授/065:「2人とも、大丈夫か?」

ジャック/066:「俺は一応な」

キャロライン/067:「私も大丈夫よ……おさまった、みたいね」(がらんとした食堂を見渡す)

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◆05:教授と奇妙な新聞記者

【がたっと物音】

マーガレット/068:「あら、部屋の隅に何か?」

キャロライン/069:「そこ、何かいる。動かないほうがいいわ」(マーガレットに)

【部屋の隅から声が聞こえてくる】

レオナルド/070:「た……」(何かを言いかけようと)

【教授、そっちへと近づく】

教授/071:「た?」(不思議そうに聞き返す)

レオナルド/072:「助かったあああ!!!」

教授/073:「うわ!!!」(テンションに思わず引く)

マーガレット/074:「まあ、私の他にも人がいらっしゃったのね」

レオナルド/075:「ありがとうございます!幽霊列車に囚われ(とらわれ)、レオナルド・アンダーソン人生最大
 にして絶体絶命の危機!だと思っていたんですが!いやー、いつか必ず救助が来ると諦めないで良かった!
 これも日頃の行いですかね!?」

教授/076:「はぁ……いや、その辺りはよく知らないが」(呆気に取られつつ)

【レオナルド、どこからか手帳とペンを取り出す】

レオナルド/077:「いかがですか、将来有望な若者を助け出した感想は?
 あ、お連れの方も是非この列車について思うことがあれば聞かせてください!」

マーガレット/078:「まあ、もしかしてレオナルドさんはライト・タイムズ社の新聞記者さんなんですか?」

レオナルド/079:「……いかにもそうですが、何故それを?」(驚き)

マーガレット/080:「なんとなくですけれど……大きなカメラを持っていらっしゃいますし、持っていらっしゃる
 ペンにライト・タイムズ社の名前が。シャツの袖が少し擦り切れているのは、書き物をするお仕事だから
 でしょう?」

レオナルド/081:「うわ!なるほど!細かい所に気がつきますね、お嬢さん」

マーガレット/082:「ふふ、他の方の職業を当てるのは得意なんです」

教授/083:「……そうか、思い出した。あなたがあの"ミセス・マーガレット"か!」

ジャック/084:「なんだ、そりゃ」

キャロライン/085:「最近新聞でよく見る、警察で手に負えない難事件を解決してるっていう名探偵」

マーガレット/086:「あら、いやだ。ご存知でしたのね。でも私はお手伝いをしているだけで、実際に頑張って
 いらっしゃるのは警察の方たちですよ」

レオナルド/087:「へぇー、人は見かけによらないものですね!
 そうだ!この汽車から無事脱出した暁(あかつき)には是非我が社の新聞でミセスの今まで解決した
 事件の特集をー!!」(テンション高く)

ジャック/088:「つーか、いちいちやかましい野郎だぜ」

レオナルド/089:「いいじゃないですか、喋り方は個人の自由ですよ!」

ジャック/090:「お?」

キャロライン/091:「……ジャックが視える(みえる)の?」

レオナルド/092:「そりゃ見えますよ!視力はこう見えていいんですよ!」

キャロライン/093:「じゃなくて、ジャックが最初から視える人は珍しいんだけど……」

【キャロラインの台詞に教授の台詞かぶる】

教授/094:「とりあえず、ずっとここに居ても仕方がない。
 この汽車が幽霊列車だとするなら、どこかにこの幻の汽車を作り上げているものがあるはず。
 それを探してみることにしよう」

レオナルド/095:「おおー!調査ですね!手伝いますよ!さっそく別の車両を調べに行きましょう!」

【言いつつも先にさっさと行ってしまう】

教授/096:「あ、レオナルドくん!勝手に行動しては……やれやれ、元気な若者だ」(呆れて見送る)

マーガレット/097:「何かレオナルドさんが落としていったけど……ずいぶん古い新聞だわ」

教授/098:「二十年前のライト・タイムズ社の新聞か……ふむ」

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◆06:教授とミセスと解決編

【無人の先頭車両に着く/汽車の音】

レオナルド/099:「今度は"3人"……いや、4人、かな。そろそろ約束を果たしてくれないか、マリア・セレスト」
(独り言のようにぽつり、と)

【扉の音/教授らがやってくる】

教授/100:「ここも無人か……」

レオナルド/101:「あ、皆さん!遅いじゃないですか!もし僕に何かあったらどうすんですか!!」

キャロライン/102:「……勝手に先に行ったのはあなたよ」

ジャック/103:「ま、単独行動するお調子者から消えてくのは定番だしな」

レオナルド/104:「ひど!」

マーガレット/105:「この汽車、前も真っ暗で線路が見えない……一体どこを走っているのかしら?」

教授/106:「多分、この世でもあの世でもない場所、と言ったところでしょう。
 汽車を存在させている何かがあるはずなんだが」

レオナルド/107:「ここに来るまでの車両にも怪しいものはなかったですしね。
 そもそも、形も何もわからないし、そんなもの本当にあるんですか?」

キャロライン/108:「……この近くのはずよ。強い力が働いている感じがするもの」

レオナルド/109:「でも、この車両にも何もないじゃないですか」

マーガレット/110:「先頭車両にあって、他の車両にないもの……。
 もしかしたら、"それ"じゃないかしら?」

【マーガレット、車両にあるボイラーを指す】

教授/111:「なるほど、この汽車のボイラーですか」

レオナルド/112:「……なんでそう思うんです?」

マーガレット/113:「汽車が走るには石炭が必要でしょう?でもこの汽車は見た所、燃料もないのに走ってる」

レオナルド/114:「そりゃ、幽霊列車だからじゃないですか。人間だって、死んだら食事はいらないでしょう」

マーガレット/115:「そうとも考えられるわね。でも、走る為の……いえ、この汽車が存在する為の別の何かがあると
 疑ってもいいと思うわ」

ジャック/116:「おー、すげぇ、探偵みたいだ」

キャロライン/117:「探偵よ、ミセスは」

レオナルド/118:「……それは、推測に過ぎないじゃないですか」

教授/119:「ふむ……では、それはひとまず置いておこう」

レオナルド/120:「は?」(あっさり引かれたので拍子抜け)

教授/121:「今度は、僕からいくつか気になることを聞かせてもらおう。
 レオナルドくん、君は記者らしいが……それなら何故、ミセス・マーガレットを知らないんだ?」

レオナルド/122:「あ、ああ……最近は取材で忙しくて。他社の新聞まで読んでいる暇がないんですよ」

教授/123:「それはおかしいな。ミセス・マーガレットについてをいつも取り上げているのは君の勤めている
 ライト・タイムズ社なんだ。顔くらいは知っていてもおかしくないんじゃないか?」

レオナルド/124:「!そ、そうですか……勘違いしてました。自分の担当記事以外には疎くて」

教授/125:「担当、というのは当時の……いや、二十年前の知事のゴシップについてかな。
 ミセスが新聞に取り上げられるようになったのは最近だ。
 君はもしかして、最近のことについては何も知らないんじゃないか?」

レオナルド/126:「な、なんでそんなことを……」

マーガレット/127:「はい、これ。あなたが落とした新聞です。日付は二十年前。
内容は、当時の知事が黒魔術に傾倒(けいとう)しているとか、秘書から極秘裏に魔術書を手に入れたとか、
そういう内容ですね」

ジャック/128:「うわ、うさんくせぇ記事」

レオナルド/129:「……そう、ただのゴシップ。うさんくさい三面記事。それで終わるはずだった」
(独り言のようにぽつり、と)

教授/130:「記者の名前は、レオナルド・アンダーソン。君の名前だ。
 もしかして君は、ゴシップの取材をしているつもりが、うっかり"本物"を手に入れてしまったのでは?」

レオナルド/131:「……そうだ、あの本を手に入れてから、おかしくなっていったんだ。
 新聞が発行される直前に、知事が秘書を殺して自殺。結局その新聞は発行されなくて、うやむやになって。
 証拠品だったあの本を処分しようと切り刻んでも、遠くに捨てても、気づくと僕の手元に……」

レオナルド/132:「あの本から逃げたくて、新聞社を辞めて、田舎に帰ろうとしたんだ。
 でも、いつの間にかあの本があった。だから……駅に停車している時に、駅員の目を盗んで汽車のボイラーの中に
 放り込んだんだ」

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◆07:教授とミセスとゴーストトレイン

【がたごとと汽車の音】

教授/133:「その後、事故が起きて……君は死んでしまったのか」

ジャック/134:「なるほど、こいつも死人(しにん)かよ。道理で最初から俺が見えるわけだぜ」

レオナルド/135:「違う!まだ僕は死んでない!あの本から逃げようとしたのが間違いだったんだ。
 あの本は……今はマリア・セレストになったあの本は、僕を生き返らせると約束してくれた!」

【がちゃり、とボイラーの戸がひとりでに開く/炎の中にいくつもの人の魂のようなもの】

マーガレット/136:「……!あれは一体……!?」

キャロライン/137:「……教授」

教授/138:「他の人間の魂と引き換えに、か。レオナルドくん、君は確かに不運だった。
 だが、そんな方法で生き永(なが)らえてどうする?その時点で、君は人間ではなくなるぞ」

レオナルド/139:「だから何だっていうんだ!どうして僕がこんな目に遭わなければいけなかったんだ?
 あの時、あの本さえ受け取らなければ……」

教授/140:「……すまない」

レオナルド/141:「何故あなたが謝るんです、教授?」

教授/142:「さて、ね。それよりこれからどうするんだい?我々を無事に目的地まで運んでくれる気はないのだろう?」

レオナルド/143:「ええ、その通りです。あなた達はこの汽車から降りることはできない」

【レオナルド、どこからか銃を取り出し、キャロラインを人質に取る】

キャロライン/144:「……何のつもり?」

マーガレット/145:「キャロラインちゃん!」

ジャック/146:「ちっ……人質かよ」

レオナルド/147:「この子とそこの幽霊が組むと厄介そうですからね。幽霊のままじゃ、これは止められないでしょう?」

【がちゃり、と車両にある工具などが宙に浮く】

教授/148:「なるほど……先ほどのポルターガイストも君か。このままだと我々は串刺しだな」(言葉の割には動じず)

【キャロライン、動じず答える】

キャロライン/149:「……レオナルドさん。あなた、かなりのバカなのね」

レオナルド/150:「な、なんだと!?」

キャロライン/151:「私は霊媒師(ミスティック)よ。幽霊に対する備えがないわけないでしょう」

キャロライン/152:「それに、自分で気づいていると思うけれど、あなたもすでに"幽霊"なのよ」(きっぱり)

【ばちっ!!と電気のような音/キャロラインの護符でレオナルドが弾かれる】

レオナルド/153:「うわっ!?……くっ、マリア・セレスト!こいつらを串刺しに……!」

【台詞の途中で斬撃音/レオナルド、ジャックに斬られる】

ジャック/154:「遅ぇよ。」

レオナルド/155:「何故だ、幽霊が霊媒師(ミスティック)の助けもなしに、人を斬れるはずが……」

ジャック/156:「はっ、生きてるヤツならそうだろうけどな。お前も俺と同じ幽霊なんだろうが」

キャロライン/157:「……私が言わなければ気づかなかったくせに」

ジャック/158:「う、うるせー!」

【唸るような音/汽車の炉が真っ赤に燃えている/中におぼろげに本のようなもの】

教授/159:「さて、こちらはこの本をどうにかしようか」

【教授、トランクを開く/怪しげな機械のようなものを取り出す】

マーガレット/160:「教授、それは?」

教授/161:「科学的に魔術の類のエネルギーを封じ込める機械です。試作品ですが」

マーガレット/162:「はぁ……科学と魔術って矛盾していないかしら」(後半、ぼそっと)

教授/163:「源流(げんりゅう)は同じものですからそうでも有りません。さ、ミセス・マーガレット。下がってください」

レオナルド/164:「っ!やめてくれ……!!」

【教授、機械を作動させる。炎の中の本、光と一緒に機械の中に取り込まれる】

マーガレット/165:「!汽車が消えていく…!?」

教授/166:「あるべき場所に還るんですよ。君も」(レオナルドに)

【レオナルド、ほっとした感じで笑う】

レオナルド/167:「はは……そうか、もうあの本に怯えなくていいのか……良かった」

【レオナルド、汽車と一緒に消える】

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◆08:4人と汽車とエピローグ

【4人、気づくとある駅に立っている】

マーガレット/168:「ここは……?」

教授/169:「元の駅、か。どうやら我々は無事に戻ってこられたようだ」

マーガレット/170:「……レオナルドさんや事故で死んだ他の人の魂は、天国に行けたのかしら」

ジャック/171:「さーね。他の奴らはともかく、あの記者は地獄行きじゃねーの?」

マーガレット/172:「まあ、ジャックちゃん。亡くなった人を悪く言ってはいけませんよ」

ジャック/173:「だから、ちゃん付けで呼ぶな!」

キャロライン/174:「すごく似合わないわよね」(きっぱり)

ジャック/175:「うるせー!!!」

マーガレット/176:「そういえば教授、レオナルドさんの事件に詳しいようでしたが……何かご存知でしたの?」

教授/177:「ああ……僕の父は、ある知事の秘書をしていたんです。事件に巻き込まれて早死にしてしまったが……
 父親がある新聞記者に渡した"証拠品"の行方が気になっていたんですよ」

マーガレット/178:「そうだったんですか……」

キャロライン/179:「だからこの幽霊列車の調査を引き受けたのね、教授。普段はなんだかんだ言って断るくせに」

教授/180:「いいだろう、偶には汽車の旅も」

キャロライン/181:「まあね、普通の汽車ならもっと良かったけれど」

【遠くから汽車の音】

ジャック/182:「お?次の汽車か」

マーガレット/183:「あら、もう来たのね。私はあの汽車で帰ります。遅くなると家族が心配しますから」

教授/184:「ふむ、そうですか。それでは我々もそろそろ……キャロライン?」

【台詞の途中でキャロラインに服の裾を引っ張られる】

キャロライン/185:「……教授、私、普通の汽車にも乗ってみたいわ」

教授/186:「いや、あの汽車は逆方向……」

【教授の言葉にかぶってジャックの台詞】

ジャック/187:「おー、俺も俺も!さっきは真っ暗で走ってんだか走ってねーんだかわからなかったしな」

教授/188:「……やれやれ。ミセス・マーガレット。もう少しご一緒することになりそうです」

【マーガレット、3人のやり取りを見て笑う】

マーガレット/189:「えぇ、喜んで」

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◆09:キャストコール

教授/190:教授(プロフェッサー)、(キャスト名)

キャロライン/191:キャロライン、(キャスト名)

ジャック/192:ジャック、(キャスト名)

マーガレット/193:マーガレット、(キャスト名)

レオナルド/194:レオナルド、(キャスト名)

教授/195:ボイスドラマ「教授とミセスとゴーストトレイン」

キャロライン/196:企画・脚本ほか、さのや

ジャック/197:キャラクターデザイン・制作協力、グリーン

マーガレット/198:制作・提供は、

レオナルド/199:「0から始めよう」でお送りしました。

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